突発本なので、実はサンプルをどこにも載せてなかったと気がつきました^^;
『Blue sky Blue』本文冒頭のサンプルです。
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「どうぞ、適当に座ってて」
すぐお茶煎れるからね。そう言って彼はキッチンへと消えていった。
どことなく覚束ない足取りに見えるのは気のせいではないと思う。
先日会った時にはそんな素振りは全く無かったというのに、一体この数日間で何があったというのだろう。
余りにもおかしい健二の様子に、佳主馬は首を捻るばかりだ。
自分を出迎えた健二の顔には、やや薄暗い玄関でも分かるほどにはっきりと隈が出来ていた。
今は八月の半ば。学生にとっては夏休みの真っ只中だ。
本来なら名古屋にいるはずの少年は、ここ東京へとやって来ている。
理由はスポンサーとの打ち合わせ―というのは建前で、先ほど自分を出迎えてくれた人物、小磯健二と会う為である。
勿論、そんなこと本人には伝えていなかった。まだ中学生でしかない少年は、その想いを密かに隠すように(隠せているかは別として)取り繕い続けている。
そもそも佳主馬が最後に健二と顔を合わせたのはつい先々週のことであるのだが、その場所は上田で、なおかつ彼は彼の想い人と一緒にいるものだから、得体の知れない罪悪感やら気恥ずかしさやらで碌に話すことも出来なかった。
大半の事由は佳主馬の一方的なものであったが、それでもそのままにしないのがまだ彼が中学生―所謂思春期である所以かもしれない。
とにかく池沢佳主馬は、適当な理由を作り、更には四歳年の離れた健二の家に泊まる約束を取り付け、今日という日を迎えたのだった。
そもそも今年は健二の滞在が短かった、と佳主馬は思う。
理由が至極当然であり、またはっきりしているだけに何も文句を言うことなど出来ないのだが。
健二じゃ今年で高校三年になる。この国の学習制度を知っているなら当たり前であるが、彼は紛れもなく「受験生」と言う肩書き持ちでもあった。
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以下本文に続く。